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有名なFX格言:落ちてくるナイフはつかむな
「売るべし買うべし休むべし」という格言は、相場における3つの選択肢「買い(ロング)」「売り(ショート)」「休む(ノーポジション)」のいずれも等しく価値がある、という深い意味を持っています。多くのトレーダーは、“売り”か“買い”のどちらかしか選択肢がないと考えがちですが、「休む」もまた立派な戦略の一つなのです。
FX初心者の多くは、常に相場に参加していなければ機会損失になるのではと焦ってしまいがちです。しかし、相場には「わかりやすいとき」と「不透明なとき」が必ず訪れます。不透明な時期に無理に売買を繰り返せば、冷静な判断ができずに損失を拡大してしまうリスクが高くなります。
私自身も、トレードを始めたころは「休む」という選択肢をほとんど意識していませんでした。しかし、経験を積むにつれて、「明確なトレンドや根拠がない時はあえて手を出さず、相場を静観する」ことの重要性に気付きました。休むことで心身のリセットができ、次のチャンスに冷静に備えることができます。
この格言が伝えたいのは、「相場で勝ち続けるためには、エントリーしない勇気も必要」だということです。利益を得るための行動だけでなく、資金を守るための“待つ力”――それもまた、成功するトレーダーの重要な資質です。
つまり、「売るべし買うべし休むべし」という言葉には、“相場に合わせて柔軟に行動し、時には積極的に何もしない判断をする”という、勝ち続けるための知恵が詰まっていると私は考えます。
【コラム】2024年ドル円急落「落ちてくるナイフはつかむな」のリアルな教訓
歴史的暴落、その時なにが起きたか?
2024年5月、ドル円相場はわずか数日で160円台から155円台へと暴落しました。
日銀や財務省による為替介入観測、米長期金利の急低下、投機筋の巻き戻し―さまざまな材料が重なり、一時的なリバウンドを挟みつつも「落下するナイフ」のごとく値を崩しました。
このような場面で、多くのトレーダーが「そろそろ底だろう」「ここで買えれば大きなリバウンドが取れる」と逆張り買いに挑みました。
しかし、結果としてその多くはさらに下へと突き落とされ、“逆張りナンピン”で損失を拡大する羽目になったのです。
ナイフをつかんでしまった実録
SNSや掲示板には、
155.50円で買い→さらに暴落して損切りできず、ナンピンして資金が尽きた
一度目の反発を見て“底打ち”だと勘違いし再エントリー、連続で損切り」
といった体験談が溢れました。
実際、強いトレンドや過熱した下落の最中では、「これ以上は下がらないだろう」という期待は簡単に裏切られるのが相場の常。
底を完璧に当てることは至難の業であり、特に“勢いのある暴落”では、無理な逆張りは資金を減らす最大の要因となります。
本当にナイフが止まるまで待てた人の勝利
一方で、
下落トレンドが明確に止まり、反転のサインが出てから参戦。これができて初めて利益を出せた
値動きが落ち着くまで我慢し、急落の終息を確認してからエントリー
など、“ナイフが床に落ちて静かになってから拾う”イメージを持てた人は、最悪の損失を避けることができました。
コラム総括
「落ちてくるナイフはつかむな」強い下落や急落の最中は、安易な逆張りで資金を溶かすのではなく、明確な反転シグナルが出るまで“手を出さない勇気”を持つこと。
2024年のドル円暴落相場は、この格言の現実味と重みを、多くのトレーダーに思い知らせた教訓となりました。
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