海外FXは日本の金融庁の監督を受けていないため、税金がかからないのではと思う人もいるでしょう。
しかし、海外FXでも国内FX同様に雑所得として税金がかかるので、利益が出たら税金を収める必要があるので注意が必要です。
そこで、今回は海外FXの税金の仕組みや、節税対策についても解説していきます。
目次
日本で取引しても海外FXの利益には税金がかかる
日本で取引していたとしても、海外FXで利益を上げた場合には「所得税・住民税」がかかってきます。
FXで税金が発生するタイミングは、ポジションを決済して利益確定したかどうかで判断されます。
そのため、含み益には税金がかからず、利益が確定して確実に手元に入って来るとなったときに課税されます
海外FXと国内FXの収益にかかる税金の仕組み
国内FXと同様に海外FXで得た利益は「雑所得」に分類されますが、それぞれの損益を通算できない点が異なります。
国内FXは「申告分離課税」、海外FXは「総合課税」で税金が徴収されます。
それぞれ具体的な計算方法について見ていきましょう。
国内FXの税金の仕組み
国内FXの税金は「申告分離課税」が採用されています。
申告分離課税は、利益の大小に関わらず20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)がかかります。
国内FXの利益は税制上優遇されており、通常所得が高くなるほどに段階的に税率が高くなる超過累進税率は適用されていません。
海外FXの税金の仕組み
一方で、海外FXの利益には「総合課税」が適用されています。
課税区分が異なることもあり、海外FXと国内FXではそれぞれ税金計算をし、それぞれ税金を払う必要があるので注意しましょう。
海外FXの税金の内訳としては、所得税(5%~45%)、住民税(10%)、復興特別所得税(その年の基準所得税額の2.1%)となります。
所得税に関しては超過累進課税が適用されており、地方税を除くと最高税率は45%になっています。
とくに、課税所得が900万円以上に関しては一度に税率が上がります。
所得 |
税率 |
控除額 |
1,000円~194万9,000円 |
5% |
0円 |
195万~329万9,000円 |
10% |
97,500円 |
330万~694万9,000円 |
20% |
427,500円 |
695万~899万9,000円 |
23% |
636,000円 |
900万~1,799万9,000円 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万~3,999万9,000円 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円以上 |
45% |
4,796,000円 |
引用:No.2260 所得税の税率(国税庁)
つまり、税金の負担額でみると、FXによる所得が330万円までなら税率は20%未満でおさまるので所得税においては海外FXのほうがお得になると言えます。
ただし、住民税(10%)や復興所得特別税が加算されるので、税金面では国内FXのほうがお得になるケースのほうが多いでしょう。
海外FXの確定申告の方法
海外FXにおいても確定申告は必須で、会社員なら「給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円以上」になると確定申告が必要になります。
海外FXの確定申告を行う場合、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で作成・提出が可能です。
確定申告は毎年2月16日~3月15日(土日祝に当たる場合は翌営業日)となっており、以下の書類が必要です。
・マイナンバーカード
・海外FXの年間取引報告書(海外FX業者ごと)
・必要経費を証明する領収書
・源泉徴収票(給与所得者のみ)
・控除証明書
・印鑑
提出は税務署に持参のほか郵送や電子申請(e-Tax)でも提出ができるので、平日時間がない人でも安心です。
また、納付も確定申告の期限日までに済ませる必要があるので注意が必要です。
納付は現金のほか、インターネットバンキングやクレジットカード、スマホアプリにも対応しています。
海外FXで出た利益の節税対策
海外FXは国内FXと比べて税率が高めに設定されているので、できるかぎり節税する方法も確認しておきましょう。
FXにかかった費用は経費として計上する
海外FXの利益は雑所得として扱われるため、収入金額から必要経費を引いて計算します。
経費に計上できるのは海外FXで利益を上げるために必要とされる金額で、漏らさず計上することが重要です。
実際に海外FXで必要経費にできる例を見てみましょう。
・インターネット・スマホなどの回線
・取引に必要となるパソコンやソフトウェアの購入費
・デスクやイスの購入費
・取引にかかる手数料
・FX関連書籍の購入費
インターネットやスマホ、パソコンは海外FXを行った時間やパソコン使用時間を記録しておけば、必要経費として計上しても問題ありません。
経費かどうかを判断する明確な基準はありませんが、万が一の税務調査に備え、経費の領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。
他の副業収入で損失があれば合算できる
同じ雑所得による損失があれば、海外FXと合わせて損益通算することができます。
雑所得に分類されるのは、仮想通貨取引やブログ、アフィリエイト、転売、ハンドメイド物販などが挙げられます。
ただし、雑所得以外の所得や国内FXは含められないので、注意が必要です。
所得税の所得控除制度を活用する
少しでも節約するためには、所得控除も活用することが重要です。
利用できる所得控除の例を確認しておきましょう。
・雑損控除:災害・盗難・横領による損害額に応じた一定額
・医療費控除:支払った医療費が10万円以上の場合に最大200万円
・社会保険料控除:社会保険料の全額
・小規模企業共済等掛金控除:掛金の全額
・生命保険料控除:生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料に応じた一定額
・地震保険料控除:地震保険料に応じた一定額
・寄附金控除:特定寄附金を支払った場合に所定の計算式で算出
・障害者控除:自身または生計を一にする人の障害区分に応じた一定額
・寡婦控除:寡婦の場合27万円
・ひとり親控除:ひとり親の場合35万円
・勤労学生控除:勤労学生の場合27万円
・配偶者控除:配偶者の所得が48万円以下の場合に納税者の所得に応じた一定額
・配偶者特別控除:配偶者の所得が48万円超〜133万円以下の場合に所得に応じた一定額
・扶養控除:扶養親族の区分に応じた一定額
・基礎控除:所得が2,500万円以下の場合に最大48万円
条件を満たしている控除があれば、積極的に活用することで節税効果が期待できます。
法人化する(安定して900万円以上の利益)
年間所得が900万円以上あり、継続する見込みがあるなら法人化することも視野に入れましょう。
なぜなら所得が900万円以上になるにあたって個人の所得税の税率より、法人税の税率の方が抑えられるので法人化したほうがお得になるからです。
法人化することで、以下のようなメリットがあります。
・損失を10年まで繰り越せる
・経費にできる項目が増える
・役員報酬を組み合わせることで給与所得控除を受けられる
ただし、法人化にあたっては900万円以上の利益を継続して上がられない限り、メリットよりもデメリットのほうが多くなるので注意が必要です。
まとめ
海外FXは日本で取引していても税金が発生するので、会社員なら年間20万円以上の所得がある場合は必ず確定申告の必要があります。
利益が出ていても税金を収めない場合、余計に税金が発生するだけではなく刑事罰を受けるなどリスクが大きいので注意が必要です。
海外FXは国内FXと比べると税金面では不利な面が多いですが、しっかりと節税することでできるだけ手元にお金が残るように対策していきましょう。
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